商売をデザイン、感性とマーケティング

コラム

個性的で魅力ある店が現れる

文化は、人の生活から生まれた共通の価値観に影響された様式や精神活動であり、人の心に大きく影響を与えたり感動を与えたりするものだと思う。

古い話だが、数十年前の金沢には、喫茶店が数多く有った。どの店も個性的で、店主の魅力的な人柄と相まって素敵だった。今ではそのような店は、あまり見掛けなくなり味気ない。もっとも、コーヒーを飲むだけなら、大手コーヒーチェーン店があるから困らない。お洒落で空調が効いて居心地が良い。チェーン店はどこへ行っても同じ味で、同じサービスを受けられるから安心だ。だが、なぜか面白くない。あの個性的で魅力的な喫茶店が懐かしい。数十年前は、どの業種にも個性的で素敵な店がたくさんあり、どの町の商店街も魅力的だった。あれは、紛れもなく文化だ。

振り返ってみると、クルマ社会を背景にした経済活動、大手資本や大型店舗は、個店や商店街の商売に影を落とし、結果的に共存共栄を許さなかった。消費者の意識の変化もあったのだろうが、そこには文化と呼べるものは無かったように思う。

今、私達はCOVID-19により大きなダメージを負い、先が見えない状況下にある。歴史を見ると、世の中の大きなショックは社会を変化させてきた。既に人々の意識が変わり、行動の変容が起きている。商売・ビジネスの在り方も変化するだろう。世の中が大きく変わっていく中、商売をするのは大変だ。周囲の状況を瞬時に判断する目と行動力が求められる。

先が見通せない大変な世の中となった。緊急事態宣言が解除されてもなお、客足が戻らず苦戦を強いられている。我々、中小零細組は、売上げが自分の生活に直結している。潤沢な資金が有るわけでもなく、懐への影響はダイレクトだ。だが、この場に立ち止まるわけにはいかない。商売をうまくデザインして、感性とマーケティングで、この受難を乗り越えたい。これまで大きな変化の後には、新しい価値や文化が生まれ、悪い方向にばかり行くわけではなかった。それなら今回も、個性的で魅力のある店が現れるのは必然だろう。

2020年6月11日 編集部